米国ETF(QYLD・JEPQなど)からの配当金を受け取っている人の中には、「外国税額控除って難しそう…」と感じている方も多いと思います。
実は私も最初はスルーしていたのですが、調べてみたら確定申告で控除を受けられるケースがあると知りました。控除額は所得や口座によって変わります。
このページでは、そんな外国税額控除の仕組みから申告手順までを初心者にもわかりやすく図解つきで解説しています。
1️⃣ 外国税額控除のしくみと対象になる人
2️⃣ 実際の申告手順と必要書類の流れ
3️⃣ いくら戻る?シミュレーションと注意点
外国税額控除のやり方|確定申告・e-Taxの6ステップ早見表

| ステップ | やること | ポイント・注意点 |
|---|---|---|
| ① 証券会社の年間取引報告書を用意 | 楽天証券・SBI証券などの証券会社から、「取引報告書」や「特定口座年間取引報告書」をPDFでダウンロードできる | 電子交付か郵送かで探す場所が違うので、自分の証券会社の「税関連書類」の欄を確認 |
| ② 外国で引かれた源泉徴収税額を確認 | 海外ETFの配当では通常10%程度取られている | 「支払通知書」や「配当‐支払報告書」に税率が明記されているはず |
| ③ 申告方法を選択(総合課税または申告分離課税) | 他の所得や控除との兼ね合いでどちらが有利か変わる | 国税庁のHPや税務所の相談窓口も活用すると安心 |
| ④ 外国税額控除に関する明細書を作成 | e‑Taxまたは紙の申告用紙で「明細書」を添付 | 「国外所得」「税額」「配当の出所」などを正しく書くこと |
| ⑤ 控除限度額を計算 | 所得税 ×(国外所得 ÷ 総所得)の式で算出 | 総所得には国内外すべての所得を含め、国外所得には配当以外の外国所得も入れる |
| ⑥ 確定申告書B等と一緒に提出 | 確定申告書B・第三表・明細書を税務署またはe‑Taxで提出 | 提出期限を守ること、誤記や添付漏れをチェックすること |
外国税額控除でいくら戻る?JEPQ・QYLD配当金の具体例でシミュレーション

JEPQの配当で1万円引かれた場合
外国税額控除を使えば、JEPQの配当から引かれた1万円が戻ってくる可能性があります。
理由は、米国で源泉徴収された税額が控除対象だからです。
具体例
| 項目 | 金額 | 内容 |
|---|---|---|
| 年間配当 | 100,000円 | 海外ETFからの配当 |
| 源泉徴収額 | 10,000円(10%) | 米国で差し引かれた税金 |
| 日本の所得税 | 772,500円 | 所得税の計算ベースからの額例 |
| 国外所得(配当以外含む) | 200,000円 | 例として配当10万円以外に外国所得が10万円ある場合 |
| 総所得 | 6,000,000円 | 国内外すべての所得合計と仮定 |
| 控除限度額 | 25,750円 | 772,500 ×(200,000 ÷ 6,000,000)で計算された上限額 |
控除限度額の計算: 772,500円 × (200,000円 ÷ 6,000,000円)= 25,750円
この場合、引かれた1万円は全額控除可能となります。
控除限度額の式は、覚えてしまえば意外と簡単です。所得に対する外国収入の割合を出すだけだからです。
控除限度額 = 所得税 ×(国外所得 ÷ 総所得)
📊 外国税額控除シミュレーター
以下の項目を入力すると、自動計算されます。
🧾 源泉徴収額(10%):0 円
🌐 国外所得(税引前):0 円
🧮 控除限度額:0 円
✅ 戻る可能性のある金額:0 円
この式で求められます。
注意点: 配当以外にも給与所得や事業所得などがある人は、総所得に占める国外所得の割合が小さくなり、控除限度額が減ってしまう場合があります。
住民税でも控除できる?繰越控除の仕組みとは
控除しきれなかった外国税額は、住民税でも一部が控除可能です。
住民税の控除限度額: 住民税所得割額 × (国外所得 ÷ 総所得)
さらに、所得税・住民税どちらでも控除しきれなかった場合は、一定の条件を満たせば翌年以降3年間まで繰り越して控除できる場合があります。
繰越控除の例: 今年10万円の外国税があり、そのうち3万円しか控除できなかった場合、残りの7万円分を翌年以降3年間で控除可能です。
重要な条件: 繰越控除を利用するには、原則として対象となる各年の確定申告が必要です。申告をしない年があると繰り越しが使えなくなる場合があるため、継続的な申告が大切です。詳しい要件は対象年分の国税庁の案内で確認してください。
外国税額控除とは?海外ETFの二重課税を取り戻す仕組み

控除の対象になる人・対象外になるケース
控除対象になるのは「国外所得があり、申告をする個人や法人」で、対象外になるのは “申告不要” の制度や NISA を使っている場合です。
控除は「外国で支払った税額を、日本で支払う所得税から差し引く」制度。
申告がなければ調整できないし、課税されない所得には控除の余地がないからです。
具体例:
| ケース | 海外所得あり? | 確定申告する? | 控除対象になるか |
|---|---|---|---|
| A:特定口座(源泉あり)+申告あり | はい | はい | ✔ 対象になる |
| B:NISA口座で受け取り | はい | ‒ (課税なし) | ✖ 対象外 |
| C:申告不要制度を利用中 | はい | ‒ | ✖ 対象外 |
自分がどの口座で受け取っているか、また申告の義務があるかどうかを確認することが第一歩です。
NISA口座や申告不要制度では控除できない理由
これらの制度を使う場合、日本での所得税が課されないか申告しない状態になるため、控除の計算対象外になります。
外国税額控除は「日本での所得税額 ×(国外所得 ÷ 総所得)」で控除限度額を決め、実際支払った外国税の一部または全部を差し引くものですが、日本側の税がゼロか対象外なら計算できないのです。
具体例:
- NISAであれば配当は非課税 → 日本の所得税に含まれない → 控除できない。
- 申告不要制度を選択している場合、そもそも確定申告をしていない → 明細書等を提出しないため制度が使えない。
投資戦略を立てる時、NISAのメリットと「控除できないデメリット」の両方を考慮すべきです。
【課税方式の選び方】総合課税と申告分離課税はどちらが得?
確定申告で外国税額控除を受けるとき、配当所得は「総合課税」か「申告分離課税」のどちらかを選びます。どちらを選ぶかで手取りが変わるので、外国税額控除とセットで押さえておきたいポイントですね。
結論から言うと、QYLDやJEPQなど米国ETF中心の人は「申告分離課税」を選ぶケースが多いです。理由は、米国ETFの分配金が配当控除の対象外だからです。配当控除は日本の国内株式(内国法人)の配当だけが対象で、外国法人である米国ETFの分配金は、総合課税を選んでも配当控除を受けられません。
一方で、課税所得がそれほど高くない人は、総合課税のほうが適用税率が下がって有利になることもあります。ひとつの目安として、配当を含めた課税所得が695万円以下なら総合課税を検討する余地があると言われます。ご自身の税率で両方を試算してみるのがおすすめです。
| 比較項目 | 総合課税 | 申告分離課税 |
|---|---|---|
| 税率の考え方 | 他の所得と合算して累進課税(5〜45%+住民税) | 一律20.315%(所得税等15.315%+住民税5%) |
| 配当控除 | 国内株は対象/米国ETFは対象外 | 受けられない |
| 外国税額控除 | 受けられる | 受けられる |
| 上場株の売却損との損益通算 | できない | できる |
| 向いている人 | 課税所得が低め(目安695万円以下) | 課税所得が高め・売却損がある人・米国ETF中心の人 |
JEPQなど個別ETFの税金を取り戻す具体的な流れは、JEPQの税金は確定申告で戻ってくる?二重課税を取り戻す方法でも詳しく解説しているので、あわせて確認してみてください。
【NISAとの違い】特定口座で申告する場合と手取りはどれだけ変わる?
「NISAなら非課税だから一番おトクなのでは?」と思っていませんか。実は高配当ETFに関しては、NISAが必ずしも一番有利とは限らないのがポイントです。外国税額控除の観点から、NISAと特定口座(課税口座)の違いを整理しておきましょう。
結論は、NISAは日本の税金がゼロになる代わりに、米国で引かれた10%の税金は取り戻せないということです。NISAは日本で課税されていない=二重課税の状態ではないため、外国税額控除を使う余地がそもそもありません。
さらに注意したいのが、QYLDやJEPQのような米国に上場しているETFは「投資信託等の二重課税調整制度」の対象外という点です。国内籍の投資信託・ETFなら米国分の税金が自動調整されて手続き不要ですが、米国上場ETFは自動調整されないため、二重課税を取り戻すには確定申告が必須になります。
| 受け取り方 | 米国での源泉 | 日本での課税 | 配当10万円の手取り目安 |
|---|---|---|---|
| NISA口座 | 10%引かれる | 非課税(0円) | 約9万円/米国分は取り戻せない |
| 特定口座(申告なし) | 10%引かれる | 20.315%課税 | 約7万円前後(二重課税のまま) |
| 特定口座+外国税額控除 | 10%引かれる | 20.315%課税→一部還付 | 米国分の一部〜全額が戻り手取り改善 |
※金額はイメージをつかむための概算です。源泉徴収の計算方法・所得・控除限度額によって前後します。実際の数値はその年の年間取引報告書と国税庁の案内でご確認ください。
NISAで高配当ETFを持ちたい場合の代替案は、QYLDは新NISAで買える?代わりの高配当ETF4選で紹介しています。NISAと課税口座の使い分けの参考にしてください。
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外国税額控除のよくある質問|必要書類・期限・e-Tax
Q. 外国税額控除とは?
A. 海外で課税された税金を日本の所得税から差し引ける制度です。米国ETFの配当金には米国で10%の税金がかかりますが、確定申告すれば日本の税金から控除できます。
Q. 外国税額控除の確定申告は難しい?
A. e-Taxの入力自体はそれほど複雑ではありませんが、証券口座の数や所得の種類によって所要時間は変わります。必要なのは年間取引報告書と証券口座の配当金明細です。翌年も内容が同じとは限らないため、その年の書類で数値を確認してください。
Q. 外国税額控除でいくら戻ってくる?
A. 米国ETFの配当金にかかる源泉税が対象です。還付額は所得税額・国外所得・総所得などの条件によって変わるため、年間配当額だけでは一律に計算できません。
【まとめ】外国税額控除でETF配当の二重課税を取り戻そう
米国ETF(QYLD・JEPQなど)の配当には米国で10%、日本で20.315%の税金がかかり、そのままでは二重課税になってしまいます。この記事のポイントを最後にまとめます。
- 外国税額控除は「日本の所得税額 ×(国外所得 ÷ 総所得)」で計算した限度額まで、米国で引かれた税金を取り戻せる制度
- 特定口座(源泉あり)でも、控除を受けるには確定申告が必要(申告不要制度のままでは使えない)
- 米国ETF中心なら課税方式は申告分離課税が無難。ただし課税所得が低い人は総合課税も要検討
- NISAは非課税で日本の税金はゼロだが、米国の10%は取り戻せない
- 控除しきれない分は住民税、さらに翌年以降3年間の繰越控除も活用できる
制度は少し複雑ですが、仕組みを一度理解すれば毎年の申告はぐっとラクになります。まずはご自身の口座と源泉徴収額を確認し、この記事のシミュレーターで戻る金額の目安をつかんでみてくださいね。個別銘柄の手取りはJEPQで配当金生活は可能?手取りシミュレーションもあわせてどうぞ。





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